高卒選手の難しさ

最近、実業団で採用する新卒選手の中で、大卒の割合が増えてきているように思います。
いろいろな理由があると思います。まず箱根駅伝の影響で大学生のレベルが上がっていることがあります。また箱根駅伝人気で選手が関東の大学へ進むので、大学を卒業してからでないと採用できないということもあると思います。また世の中の流れとして大学進学率が増えているので、陸上選手もその例外ではないということも考えられます。

一方高卒で実業団に進む選手もいます。若手で活躍している選手はトヨタ九州の三津谷選手、旭化成の大野選手、トヨタ紡織の山本選手などがいます。

高卒選手も大卒選手も活躍する選手もいれば、消えていく選手もいます。しかし、大卒選手と高卒選手では消えていく理由が違うように感じます。いろいろな話を聞く限りでは大卒選手は故障で消えていくことが多いですが、高卒選手は精神的な問題で消えていくことが多いように感じます。
高卒選手は体も未熟でしょうが、心も未熟です。しかし、給料をもらって働くため、それなりの働きを要求されます。精神的には相当厳しいと思います。また給料をもらい自分の自由になるお金があるため、遊びに走ってしまう可能性もあります。それをできないように規律を厳しくすれば、逆にストレスがたまります。
特に自分たちが経験したような通常勤務をこなしてから練習を行うような環境では特に厳しいと思います。若いから遊びたいという気持ちもよくわかります。自分も大学1年生のときは故障で陸上から気持ちが離れた時期もありましたので。本当は多少遊びに走って、陸上競技から気持ちが離れる時期も経験させるといった回り道もさせながらゆっくり育てていくのがよいと思います。
しかし、チーム構成が高卒1〜3年目の選手に頼らざるを得ないような構成だと大変です。回り道させている暇はありません。しかも精神的に未熟な選手が中心を占めるようなチーム構成となっているわけですからまた大変です。
そういったチーム構成は難しいように感じます。実際に高卒の若い選手だけで構成されたチームがほとんどないことがそれを物語っているように思います。